コラム

Wake on LAN(WoL)とは? 設定方法や利用時の注意点

リモートアクセス

Wake on LAN(WoL)は、リモートワークの効率化に役立つ便利な技術です。Wake on LANを利用すれば、自宅や出張先などの遠隔地からでも会社のPCにアクセスできます。しかし、Wake on LANがどのような技術なのか、種類や設定方法など、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、Wake on LANとは何か、種類や設定方法、注意点を詳しく紹介します。

Wake on LAN(WoL)とは?

Wake on LAN(ウェイクオンラン)は、ネットワークを介してPCを起動するための技術です。PCが電源オフまたはスリープ状態のときに、ネットワーク経由で特定のパケット(マジックパケットと呼ばれるもの)を送信することで、遠隔地でもデバイスを起動できます。

Wake on LANの利点は、離れた場所からコンピュータ を起動できるため、物理的にその場にいなくても作業を開始できる点です。例えば、システム管理者が複数のデバイスを一括で起動して、アップデートやメンテナンス作業を効率的に実施できます。

Wake on LANの種類

Wake on LANには「ソフトウェアWoL」と「ハードウェアWoL」の2つの種類があります。ソフトウェアWoLは、Windows 8以降に実装された、Windowsが制御するWake on LANです。ハードウェアWoLはWindowsとは関係なく、デバイスのハードウェアにWake on LAN機能が実装されています。

両者の主な違いは、復帰できるPCの稼働状態です。ソフトウェアWoLは、スリープ状態(S3)と休止状態(S4)、ハードウェアWoLはクラシックシャットダウン状態(S5)から復帰できます。

S3(スリープ)から復帰 S4(休止状態)から復帰 S4(ハイブリッドシャットダウン)から復帰 S5(クラシックシャットダウン)から復帰
ソフトウェアWoL × ×
ハードウェアWoL × × ×

Windows 8以降は、ハイブリッドシャットダウン(ハイブリッドシャットダウン)がデフォルトで設定されているため、ソフトウェアWoLもハードウェアWoLも機能しません。Wake On LANを利用する場合は無効にする必要があります。

Wake on LANの設定方法

正しく活用するためにも、以降で紹介するWake on LANの設定方法を参考にしてください。なお、「BIOS/UEFIの設定」と「ネットワークアダプターの設定」はメーカーによって設定方法が異なるため、公式サイトのマニュアルを確認した上で実施しましょう。

BIOS/UEFIの設定

BIOS(Basic Input/Output System)とUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)は、コンピュータ の基本的な動作を制御するファームウェア(ソフトウェアとハードウェアの間を仲介するソフトウェア)です。

Wake on LANを活用するためには、まずBIOS/UEFIの設定を次の手順で行います。

手順

  1. 電源をオンにし、すぐに「Del(Delete)」や「F2」といった特定のキーを連打します。キーはマザーボードやメーカーによって異なります。
  2. BIOS/UEFI設定画面が表示されるまで待ちます。
  3. BIOS/UEFIメニューからWake on LAN関連の設定を探し、有効化設定をします。BIOS/UEFI によって設定項目の名称は異なりますが、「Wake-up on LAN」「Wake Up Event Setup」「Wake on LAN from S4/S5」などと記載されています。
  4. BIOS/UEFIメニューから「節電モード/省エネモード」の無効化設定をします。「Deep Sleep Control」を無効(Disable)に設定すると、NICに電力を供給したままにできます。

ネットワークアダプターの設定

続いて、ネットワークアダプターを設定を次の手順で行います。

ネットワークアダプターのプロパティ画面を開く

  1. スタートメニューを右クリック:画面左下のスタートメニューを右クリックします。
  2. コンピュータの管理を選択:表示されるメニューから「コンピュータの管理」を選択します。
  3. デバイスマネージャーを選択:左側のペインから「デバイスマネージャー」を選びます。
  4. ネットワークアダプターの欄を展開:デバイスマネージャーの中から「ネットワークアダプター」の項目を探し、展開します。
  5. WoLパケットを受信するアダプターを選択:リストの中からWake on LANを使用したいネットワークアダプターを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
  6. 詳細設定タブを選択:プロパティウィンドウが開いたら、「詳細設定」タブを選びます。

プロパティ画面の詳細設定タブでの設定

ネットワークアダプターのプロパティ画面にある詳細設定タブでは、WoLに関する設定項目を有効にする必要があります。「Wake on LAN」「Remote Wakeup」「Wake-On-Lan機能」などを有効にしましょう。

高速スタートアップの設定

WindowsのPCの起動時間を短縮する機能に、高速スタートアップがあります。高速スタートアップが有効に設定されていると、「ハイブリッドシャットダウン」状態になり、PCが完全にシャットダウンしません。

Wake on LANを利用するためにも、高速スタートアップの「無効化」が必要です。下記は、高速スタートアップを「無効化」に設定する手順です。

  1. コントロールパネルから電源オプションを開く:スタートメニューを開き、検索バーに「コントロールパネル」と入力して、コントロールパネルを開きます。コントロールパネル内で「電源オプション」をクリックします。
  2. 「電源ボタンの動作を選択する」をクリックする:電源オプションのウィンドウで、左側のメニューから「電源ボタンの動作を選択する」をクリックします。
  3. 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックする:次の画面で、「現在利用可能ではない設定を変更します」というリンクをクリックします。このリンクをクリックすることで、変更可能な設定が表示されます。
  4. 高速スタートアップを無効化する:「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外して無効化します。
  5. 変更を保存する:「変更の保存」ボタンをクリックして、設定を保存します。

Wake on LANを利用するときの注意点

Wake on LANは便利な機能ですが、利用する際の注意点もあります。事前に注意点を理解しておくことで、Wake on LANを最大限に活用し、トラブルやセキュリティの問題が発生した際に迅速に対処できるようになります。以下で紹介する2つの注意点を押さえておきましょう。

同一ネットワーク内で利用する必要がある

Wake on LANはローカルエリアネットワーク(LAN)内での使用を前提としており、ターゲットPCとマジックパケットを送信するデバイスが同一のネットワーク内に存在する必要があります。VPNを使えば、社外のPCが会社内のネットワークに仮想的に接続されるため、マジックパケットを送信可能です。

しかし、VPNルーターやファイアウォールの設定によってはマジックパケットが送信できない場合があり、これらの機器で設定変更が必要になるケースがあります。

遠隔での利用はセキュリティが弱くなるおそれがある

遠隔での利用を可能にするためには、VPNルーターやファイアウォールの設定変更が必要な場合があります。その際、設定を誤ると外部からの不正アクセスを招く可能性がある点に注意が必要です。セキュリティの低下が原因で、ネットワークやデバイスがサイバー攻撃の標的になることも少なくありません。

例えば、「Ryuk」と呼ばれるランサムウェアは、Wake on LANの機能を悪用することでネットワーク上のデバイスを起動し、不正アクセスを試みます。Ryukは起動したデバイスの管理共有配下のファイルを暗号化して使えないようにし、解除の代償として金銭を要求するという、巧妙な手口で知られています。

Wake on LANを利用する際は、セキュリティの観点を最優先に考えた設定と運用を心がけましょう。

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まとめ

Wake on LANとは、ネットワークを介してPCを起動するための技術のことです。「ソフトウェアWoL」と「ハードウェアWoL」の2つの種類があり、それぞれ復帰できる状態が異なる点に留意する必要があります。

導入するかどうかは、同一ネットワーク内で利用する必要がある点やセキュリティリスクなどを踏まえて検討してみてください。

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