コラム

書類の電子化とは? 電子化するメリットや手順を解説

働き方改革

従来、紙でやり取りしていた請求書や契約書などのペーパーレス化が急速に進んでいます。政府が推進するDX化(デジタルトランスフォーメーション)や電子帳簿保存法の改正などが追い風となり、この取り組みはさらに加速しています。

ペーパーレス化を目指している企業内で、書類の電子化を指示された方もいるのではないでしょうか。

今回は、書類の電子化とはどのようなものか、電子化する書類の例や電子化推奨の背景、メリットや手順について紹介します。

書類の電子化とは

書類の電子化とは、紙の書類をPCやタブレットなどのデバイスで扱えるように、デジタル形式に変換する作業です。

この作業には、 スキャナーを用いて既存の紙文書を電子化する方法や、従来の紙ベースで作成していた資料を電子データで作成・保存する方法 が含まれます。

電子化の対象となるのは、社内で作成した文書や資料、顧客に提供する書類、法律により電子化が許可されている文書などです。

電子化することで業務効率化が期待できる書類

電子化したほうが望ましい書類として、税務や契約関連の文書があげられます。具体的には、 請求書、納品書、契約書、注文書、領収書、会計帳簿 などです。

また、会社を経営する上で必須となる、 決算関連の損益計算書や賃借対照表、企業の取締役会議事録や株主総会の議事録、定款など もあげられます。

さらに、 社内文書として扱われる稟議書をはじめとした申請書関係の書類、社内会議の資料や議事録 も電子化すべき対象です。

営業資料として使用される 顧客向けのパンフレットや事業案内 などもデジタル化すれば、業務の効率化と情報の共有がスムーズになります。

書類の電子化が推奨されている背景

書類の電子化が注目される背景には、2つの法律が影響しています。また、働き方改革の進展も加わり、業務の効率化と柔軟な働き方が求められることも理由のひとつです。

e-文書法

e-文書法は、2005年4月に施行された法律です。文書の電子化による業務効率の向上と保管スペースの削減を目的に制定されました。各種法令により保存が義務づけられている法定保存文書が対象であり、主に下記のような書類が該当します。

国税関係帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など
決算関係書類 賃貸貸借表、損益計算書、棚卸表など
取引関係書類 契約書、納品書、契約書など
会社関係書類 定款、取締役会議事録、株主総会議事録など

この法律では、電子文書の原本性を確保するため、 文書の「見読性」や「完全性」、情報の「機密性」、そして「検索性」が求められます。

これにより、電子文書が紙の文書と同様の原本性を保持し、法的にも有効であることが保証されました。

e-文書法の施行は、書類の電子化を進める上での信頼性と法的根拠を提供し、デジタル化の推進を後押ししています。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、国税に関する帳簿や書類を電子的に保存するための特例を定めたものです。主に、 国税関係帳簿、決算関係書類、取引関係書類 を対象としています。e-文書法の違いとして、会社関係書類を扱わない点があげられます。

税務関連書類の電子保存を認めることで、企業の事務負担軽減と税務調査の効率化を図ることが目的です。

税法上で保存が義務付けられている帳簿類について、真実性の確保と可視性の確保が求められています。

2022年1月の改正により、電子帳簿の保存要件が明確化され、企業はより効率的かつ信頼性の高い形で税務関連書類を管理できるようになりました。

DX推進

働き方改革の進展や新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークが急速に普及したのをきっかけに、企業は業務のデジタル化を進める必要が生じました。

そして、DX推進により電子帳簿の作成と電子データによる管理が可能となり、多くのメリットが享受できるようになりました。

そのため、 書類の電子化は、効率的で柔軟な企業経営を実現する上で欠かせない取り組みといえます。

書類を電子化するメリット

ここでは、書類を電子化するメリットについて解説します。

メリット① 業務の効率化を図れる

書類の電子化は、業務の効率化に大きく貢献します。例えば、稟議書や報告書を電子化すると、書類を手渡しでやり取りする手間が省け、業務の進行がスムーズになります。

電子データを活用することで、 情報共有が迅速に行えるため、手作業によるミスの防止や、入力工数の削減も可能です。 また、紙の帳票では起こりやすい紛失のリスクも低下し、重要なデータの管理がより確実になります。

メリット② 紙代や印刷代、保管スペースのコスト削減が見込める

書類の電子化により、大幅なコスト削減も期待できます。まず、印刷代や紙代が不要になるため、直接的な経費削減が可能です。

さらに、 物理的な保存場所も不要 になるため、オフィスのスペースを効率的に活用できます。保管場所が不要になることで、オフィス家賃の節約にもつながる可能性があります。

オフィススペースが節約されることでレイアウトを柔軟に変更でき、フリーアドレスの導入が可能となって、より効率的な職場環境を整えられることもメリットです。電子化は、コスト削減だけでなく、オフィスの運営方法にも良い影響を与えます。

メリット③ テレワークに対応しやすくなる

書類を電子化することで、テレワークが一層スムーズになります。社外からでも簡単にデータにアクセスでき、どこにいても必要な情報をすぐに取り出すことが可能です。自宅にいても会社にいるときのように、業務を滞りなく進められます。

また、 スマートフォンやタブレット端末を利用して、書類の確認や編集ができるため、時間や場所を問わずに作業が行えます。

さらに、チャットツールやグループウェアを活用すれば、チームメンバーとのコミュニケーションが円滑になり、迅速な意思決定も可能です。

メリット④ 検索性を高められる

書類を電子化して、ファイルサーバーやクラウドストレージを導入することで、書類の検索性が向上します。従来の紙の書類では、必要な情報を探すのに時間がかかり、場合によっては紛失することもありました。

電子化された書類であれば、 キーワード検索機能を活用して瞬時に必要なファイルを見つけることが可能 です。

そのほか、クラウドストレージを利用すれば、場所やデバイスに依存せずにアクセスできるため、情報の共有も簡単になります。

メリット⑤ セキュリティ対策につながる

電子化された書類にはアクセス権限を設定することが可能です。 特定のユーザーのみが重要な情報にアクセスできるようにすることで、不正な閲覧や情報漏洩を防げます。

ログ管理機能を活用すれば、誰がいつどの情報にアクセスしたかを追跡できるため、不審な動きがあった場合には迅速に対応することが可能です。

これらの対策をとることで、紙の書類よりもはるかに高いレベルのセキュリティを実現でき、企業の情報資産を安全に保護できます。

また、書類を電子化すれば、データのバックアップが容易になり、予期せぬトラブルや災害時にも情報を安全に管理できます。

書類を電子化するときの手順

膨大な紙の書類を電子化するには、効率良く作業を進めることが重要です。手順を確認して、計画を立てましょう。

STEP① 目的と目標を明確にする

書類を電子化する最初のステップは、目的と目標を明確に設定することです。電子化の目的を事前にしっかりと定義すれば、全体の方向性が定まります。

その目的に基づいて達成したい目標を具体化し、可能であれば部門ごとに細分化します。目標は、 プロジェクトの進捗を評価するための基準となるため、現実的かつ測定可能なものにすることが重要です。

また、電子化をスムーズに進めるためにも、目的と目標は全従業員に周知し、電子化への理解と協力を得るようにしましょう。

STEP② 電子化する書類を定める

次に、どの部門のどの書類を電子化すべきかを選別します。この選定作業では、コスト削減や業務効率化の見込み、電子化のしやすさなど複数の観点から判断しましょう。

書類の種類によっては電子化のプロセスが複雑になることもあるため、 難易度も考慮に入れて判断することが重要です。

STEP③ 電子化した書類の保管、運用ルールを決める

電子化した書類を効果的に管理、運用するためには、保管と運用のルールを明確に定めることが大切です。まず、データの保管場所を決定し、ファイルサーバーやクラウドストレージの使用方針を定めます。

ファイル名の命名規則やフォルダ構成を統一し、誰が見ても分かりやすい体系を整えましょう。

また、ファイルサーバーやクラウドストレージには容量制限があるため、不要なデータの廃棄ルールをあらかじめ決めておくことも重要です。

STEP④ 電子化する方法を決める

電子化には複数の方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。もっとも簡単で手軽な方法は、オフィスにあるコピー機を使って書類をスキャンすることです。多くのコピー機にはスキャン機能が搭載されており、日常業務の中で手軽に利用できます。

また、 専用のスキャナーを使用することも有効 です。最新のスキャナーは、自動の傾き補正やOCR(光学文字認識)処理などの便利なオプション機能を搭載しており、書類の電子化をより正確に行えます。大量の書類を短時間でスキャンする場合や、高品質なデジタルデータが必要な場合には、この方法がお勧めです。

さらに、書類の量が多く、社内での対応が難しい場合は、専門のスキャン業者に外注することも検討しましょう。

STEP⑤ 電子化を実行する

方法を決定したら、実際に書類の電子化を実施します。膨大な紙の書類がある場合には、数年かかることもあります。そのため、電子化する書類の優先順位をつけて、作業時間を確保する、または電子化作業を外部委託するなどといった取り組みをすることが大事です。

電子化することで業務のオペレーションに変更がある場合は、 マニュアルを作成したり、研修を実施したりして、スムーズに業務移行ができるようにしておきましょう。

まとめ

書類を電子化することにより、業務効率化やコスト削減が見込めます。書類を電子化する際は、目的と目標を明確にした上で、電子化すべき書類を見極め、適切な方法で管理していきましょう。

電子化した営業資料や請求書、注文書などを安全に共有、管理するのであれば、ファイル共有サービスの「Final Document」が最適です。電子帳簿保存法にも対応しているため、請求書や注文書、領収書もまとめて管理できます。データの保管や運用を検討しているなら、お気軽にお問い合わせください。

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