コラム

電子帳簿保存法で推奨されるクラウドストレージとは? メリット・デメリットや選び方について紹介

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法が施行され、企業の経理に関する文書保存の方法について改めて見直されています。電子帳簿保存法では、データを適切に保存しておく必要があり、その要件を満たす手段としてクラウドストレージの活用が注目されています。

クラウドストレージとはどのようなものなのでしょうか。今回はクラウドストレージのメリットやデメリットについて紹介します。

電子帳簿保存法で推奨されるクラウドストレージ

ここでは電子帳簿保存法とクラウドストレージについて、それぞれ解説します。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、国税に関わる帳簿や請求書などの書類を電子データとして保存する際の要件を定めた法律のことを指します。これまでは紙ベースでの保存が義務付けられていましたが、この法律が施行されたことにより、データで保存できるようになりました。

電子帳簿保存法では、「電子帳簿保存」「スキャナー保存」「電子取引データ保存」の3つの区分で保存するよう定められています。

電子帳簿保存 PCで作成した帳簿や決算書類をデータで保存する方法です。自社で発行した請求書や納品書などの控えもこちらの区分に該当します。
スキャナー保存 紙ベースで受け取った書類をスキャナーやスマートフォンを使って、PDFデータや画像データで保存する方法です。取引先が発行した領収書やATMから出てきた振込明細書などもこちらの区分で保存します。
電子取引データ保存

メールやファイル共有サービスで受け取ったデータをそのまま保存する方法です。メールで受け取った請求書や領収書、契約書や見積書などが対象です。

電子取引データ保存は、以前は紙での保存が認められていましたが、この法律によって電子データでの保存が義務付けられました。

クラウドストレージとは

クラウドストレージは、クラウド上でファイルを保存・共有できるサービスです。クラウドストレージを使えば、場所やデバイスに関係なく、インターネットに接続されていればいつでもファイルの保存、閲覧、共有が可能になります。

クラウドストレージを活用すれば、機密性の高い書類や重要なデータを社外に持ち出すことなく、リモートワークでも安全に業務を遂行できます。 そのため、データの紛失リスクを軽減しつつ、電子帳簿保存法の要件に対応した業務環境を実現できます。

ファイルサーバーでもファイルの保存や共有は可能ですが、設置や運用にコストがかかります。また、サーバーによっては決められた場所の範囲でしか閲覧できないという点もデメリットです。

さらに、サーバーに保存しているファイルが既定の容量を超えると動作が遅くなり、業務に支障をきたします。

一方でクラウドストレージなら、ファイルサーバーよりも導入コストが抑えられます。また、構築に時間がかからないため、契約すればすぐに利用できるのもメリットです。加えて、容量が不足した場合は、料金プランを変更するだけで容量を増やせるので安心です。

電子帳簿保存法への対応でクラウドストレージを活用するメリット・デメリット

電子帳簿保存法への対応としてクラウドストレージを使うことには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリット

クラウドストレージを活用する3つのメリットを紹介します。

メリット① データ管理が容易になる

クラウドストレージにデータを保存すると、データの管理が簡単になります。アップロードすれば自動的に保存されるので手間がかからず、閲覧するときもキーワードや日付で検索してすぐに見つけられます。不要なデータの破棄も削除ボタンを押すだけです。

紙ベースの資料は、保存したフラットファイルなどを置くスペースを確保したり、カテゴリごとにファイルを作り替えたりと手間がかかります。一方、 クラウドストレージに保存していればすべてクリックひとつで済ませられるため、書類整理にかかる作業を効率化できます。

メリット② 多様な働き方が実現できる

クラウドストレージは、インターネット環境さえあればどこにいてもアクセスできます。場所や時間にとらわれずにデータの閲覧や編集ができるため、リモートワークなど多様な働き方が求められる現代社会に向いています。

社内のファイルサーバーでは、出社しないと書類の閲覧ができません。一方、 クラウドストレージなら出社しなくても仕事ができるため、従業員の働き方改革も進めやすくなります。

メリット③ データの破損リスクを減らせる

クラウドストレージはインターネット上にデータを保存するため、PCが破損してもデータが失われることはありません。ファイルサーバーは、水害や地震などでサーバーの基幹機器やPCが破損したらデータが失われてしまいます。

クラウドストレージであればデータが破損するリスクを減らせるため、企業のBCP(事業継続計画)の観点から見ても優れているといえます。

デメリット

ここでは、クラウドストレージを活用する2つのデメリットを紹介します。

デメリット① オフラインでの利用が困難

クラウドストレージはインターネット上にデータを保存するため、オフラインでの利用はできません。インターネット環境がない場所では、データの閲覧や編集は不可能な上、インターネットの速度によってもパフォーマンスに違いが生じます。

なかには、 オフラインで利用できる機能があるサービスもありますが、その場合でも事前にオフラインで使用するための設定が必要です。 急にインターネットに接続できなくなってしまった場合には、何も仕事ができないという事態が生じる可能性もあります。

デメリット② 情報漏洩リスクがある

インターネット上にデータを保管していると、従業員が誤ってデータを流出させてしまったり、外部から攻撃されたりして情報が漏えいするリスクもあります。

また、クラウドストレージは基本的にIDとパスワードがなければデータを見ることはできませんが、IDとパスワードが漏えいすると誰でも閲覧できてしまいます。 ルールの徹底や社内研修などでセキュリティへの意識を高めていくことが必要です。

クラウドストレージの選び方

クラウドストレージはどのように選べば良いのでしょうか。ここでは、クラウドストレージの選び方のポイントを解説します。

ポイント① 電子帳簿保存法の要件を満たしているか

クラウドストレージを選ぶ際の最重要ポイントとして、「電子帳簿保存法の要件を満たしているか」という点があげられます。

具体的には、データの削除や改ざんを防止する機能、検索機能、帳簿との関連性の確保など、電帳法が定める要件に対応した機能が備わっているか確認することが重要です。

また、サービスを選ぶ際の目安として、JIIMA認証があります。 JIIMA認証とは、市販のソフトやサービスが電帳法の要件を満たしていることを証明する基準です。

JIIMA認証は必須ではないものの、認証を受けたクラウドストレージを使うことで、電帳法への対応に関して一定の安心感が得られます。

ポイント② 自社に必要な容量があるか

クラウドストレージは容量が決まっています。企業の規模や扱うデータの種類によって必要な容量が異なるのが一般的です。例えば、重要なものだけ保存したい場合と毎日多くのファイルを保存して共有したい場合では、使う容量も大きく異なります。

また、文書の保存か画像の保存かによっても容量が変わってきます。 数GBと1TBでは、ストレージのプランの利用料が異なることが多いため、どのようなデータを保存したいのかを決めてからサービスを選ぶのがお勧めです。

ポイント③ 自社で扱う書類に対応しているか

クラウドストレージによって、対応している書類の種類が異なります。

電子保存専用のものは、請求書や見積書など多くの種類の書類に対応できます。一方で請求書受領タイプのものは、請求書の電子化に便利です。経費精算タイプのものは、経費精算に関する領収書を電子化するのに向いています。

扱いたい書類によってサービスの向き不向きがあるため、サービスを選ぶときにはしっかり確認しましょう。

ポイント④ セキュリティ体制が十分であるか

電帳法の要件には、 保存された電子データを削除できないことが含まれています。 これは単なる操作ミスの防止だけでなく、データの完全性と信頼性を確保するための重要な要素といえます。

そのため、セキュリティ体制が充実したサービスを選ぶことが重要です。具体的には下記のような機能を持つサービスを検討しましょう。

アクセス権限 ファイルの種類、内容、部署、役職に応じて閲覧権限を細かく設定できる機能
通信暗号化 通信経路を暗号化する機能
ストレージ暗号化 ストレージそのものを暗号化する機能
IPアドレス制限 特定のIPアドレスのみに制限し、不正アクセスを防ぐ機能
操作ログ管理 誰がいつどのファイルにアクセスしたかを記録し、追跡する機能など

ポイント⑤ タイムスタンプの付与ができるか

JIMA認証を受けているサービスの場合は不要ですが、電子帳簿保存法では紙のデータをスキャンして保存するときにタイムスタンプの付与が必須です。

タイムスタンプは、データの改ざんが行われていないことを証明するツールです。 特にスキャン保存の場合と電子取引データ保存の場合はタイムスタンプを付与できるものを選びましょう。

まとめ

電子帳簿保存法には、クラウドストレージの活用がお勧めです。クラウドストレージなら、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、従業員の働きやすさにもつながります。また、機密性の高い書類も保存できるので、データを持ち出すことなく、安全にリモートワークができるのもメリットです。

電子帳簿保存法に対応したクラウドストレージを導入するなら、「Final Document」をご検討ください。「Final Document」は、PDFやWord、Excelで作成したファイルを安全に管理できるクラウドサービスです。JIMA認証を取得しているため、請求書や領収書などの書類を電帳法に対応した形式で保存できます。また、運用に合わせてタイムスタンプの付与をすることも可能です。

無料トライアルとして30日間機能制限なしで利用できるため、導入を検討している方はぜひお試しください。

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