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PCの遠隔起動「Wake on LAN」|使い方の手順やポイント

リモートアクセス

一部リモートワークを進めているものの、外部からの社内ネットワークへのアクセスがスムーズにいかないことに課題を抱えてはいないでしょうか。PCの遠隔起動ができれば、リモートワークの課題解決につながるかもしれません。

今回は、PCを遠隔起動するWake on LAN機能を利用する手順や注意点について解説します。

PCの遠隔起動が必要な理由

社外から社内サーバーにアクセスして作業をする場合、社内サーバー のPCの電源を常にオンにしておかなくてはなりません。電源が切れた状態では、社内サーバーにはアクセスできないからです。

しかし、社内のPCの電源を常時オンにしているとリスクも生じます。PCを起動したままの状態が続くと、セキュリティ面が脆弱になるほか、光熱費がかさむ問題も発生します。

PCの遠隔起動は、社内サーバーにアクセスしたいタイミングで、会社に出社することなくPCを起動できる仕組みです。必要に応じて遠隔起動させることで、セキュリティ面に配慮しながら、効率的に社内サーバーにアクセスできます。

外部からスムーズに社内サーバーを利用できるのが、PCの遠隔起動が必要な理由です。

Wake on LAN機能があるPCなら遠隔起動できる

PCを遠隔起動するのに必要な機能が、Wake on LAN(WoL/ウェイクオンラン)です。

Wake on LANとは、ネットワークを経由してPCを起動する技術をいいます。マジックパケット(ネットワークパケットの一種)を起動させたいPCに送信し、ネットワークからマジックパケットを受信したPCが起動する仕組みです。

遠隔起動させたいPCについては、あらかじめマジックパケットの受信で起動する設定にしておく必要があります。

また、Wake on LANには、ソフトウェアWoLとハードウェアWoLの2種類があります。ソフトウェアWoLは、マジックパケット受信側のPCが休止状態またはスリープ状態であるときに遠隔起動できる機能です。

ハードウェアWoLは、休止状態やスリープ状態のほか、シャットダウン状態からも復帰できます。ただし、高速起動に対応したハイブリッドシャットダウンからの起動は、ソフトウェアWoLもハードウェアWoLも対応していません。

Wake on LANを使う手順

Windows 10を例に、Wake on LAN(WoL)の機能を使って遠隔起動させるための手順を紹介します。

ネットワークデバイスがWoLに対応しているか確認する

現在ではほとんどのPCが対応していますが、ネットワークデバイスがWoLに対応していないと、WoLを利用したPCの遠隔起動はできません。ネットワークデバイスが対応しているかどうかは、下記の手順によりコマンドプロンプトから確認できます。

  1. スタートメニュー横の検索バーに「コマンドプロンプト」や「cmd」と入力してコマンドプロンプトを開く
  2. コマンドプロンプトに「powercfg.exe /devicequery wake_programmable」と入力して実行する
  3. ネットワークデバイスの表示があるか確認する

ネットワークデバイスには、「LAN」や「GbE」などの表記があります。検索画面に、「LAN」や「GbE」の記載された項目があれば、ネットワークデバイスがWoLに対応しているということです。

ネットワークデバイスでWoLを有効にする

下記の手順に従って、ネットワークデバイスのWoLの設定を有効化します。

  1. 画面左下のスタートメニューを開く
  2. 「W」の項目からWindowsシステムツールをクリックする
  3. 「コントロールパネル」を選択して開く
  4. コントロールパネルから「デバイスマネージャー」を開く
  5. ネットワークアダプターから有効化するネットワークデバイスを探す
  6. 対象のネットワークデバイスを左クリックしてプロパティを開く
  7. 「電源の管理」のタブをクリックする
  8. 「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」にチェックを入れる
  9. 「詳細設定」を開く
  10. 「Wake on Magic Packet」や「Wake on Pattern Match」などのWoL関連の項目が有効になっていることを確認する
  11. 「OK」をクリックして設定を適用する

UEFI(BIOS)でWoLを有効にする

UEFI(BIOS)とは、OS(オペレーティングシステム)を起動するためのシステムです。PCを遠隔起動するには、UEFI(BIOS)の設定も必要です。UEFI(BIOS)のWoLの有効化は、例えば下記のような手順で行います。

  1. PCをシャットダウンする
  2. 電源を入れてロゴが表示されたら「F2」または「Del」のキーを連打する
  3. UEFI(BIOS)の画面になる
  4. 設定画面で「WoL」に関連する項目を有効にする

PCによって手順が異なるため、UEFI(BIOS)を起動する方法は使用するPCでご確認ください。

シャットダウン設定を変更する

ハイブリッドシャットダウンはPCの遠隔起動に対応していません。Windows 10では高速起動(ハイブリッドシャットダウン)がデフォルトとなっているため、変更していない場合はシャットダウン設定の変更が必要です。下記の手順に従って、WoLを利用できるシャットダウン設定にします。

  1. コントロールパネルを開く
  2. 「電源オプション」を選択する
  3. 「電源ボタンの動作を選択する」をクリックする
  4. 「現在利用可能ではない設定を変更します」のリンクに飛ぶ
  5. 「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外す
  6. 「変更の保存」をクリックして設定を適用する

Wake on LANを使うときのポイント

Wake on LAN機能を使用する際の注意点を2つ取り上げます。

同一ネットワーク内でなければならない

PCの遠隔起動を社外から利用できるようにするには、遠隔地から同じネットワークにアクセスできるように設定しておく必要があります。WoLは、同じローカルエリアネットワークでないと機能しないためです。

遠隔地から社内ネットワークにアクセスする方法には、VPNを利用する方法やリモートアクセスサービスを利用する方法があります。

VPNとは、インターネットを利用した仮想ネットワークに接続する方法です。VPNを利用するには、VPNルーターやVPNサーバーなどを設置しなければなりません。

リモートアクセスサービスとは、ツールやソフトウェアの外部アクセス機能をいいます。リモートアクセスサービスを利用するには、必要なソフトウェアのインストールなどをしておかなくてはなりません。

また、WoLで遠隔起動するには、マジックパケットの送受信をできるようにしておかなくてはなりません。VPNルーターやファイアウォールなどの設定で受信を許可していない場合は、設定の変更も必要です。

セキュリティが低下するおそれがある

WoLを利用する際に、VPNルーターやファイアウォールの設定を誤って行った場合、セキュリティが低下する可能性があります。セキュリティの低下により問題になるのが、外部からの不正アクセスです。

不正アクセスの一種に、不正にデータにアクセスして暗号化を行い、暗号化の解除と引き換えに金銭を要求するランサムウェアがあります。攻撃対象ごとにカスタマイズされて開発された標的型ランサムウェアの一種がRyukです。

Ryukには、Wake on LANの機能を悪用してネットワーク上のPCを起動させ、不正アクセスした管理共有配下のファイルを暗号化しようとするものも確認されています。

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まとめ

リモートワークにおいてPCの遠隔起動をするには、Wake on LAN機能が備わっているPCが必要となります。また、Wake on LAN機能を適用するための社内ネットワークも構築しなければなりません。Wake on LANを使う際は、セキュリティ面を考慮しながら、同一ネットワーク内で使用するように設定しましょう。

リモートアクセスの導入方法については、下記の記事も参考にしてください。

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