VPNとは? 仕組みや主な種類、メリットとデメリットを徹底解説!
社内のインターネットの接続方法について、働き方の変化などもあり、見直しを考えている企業もあるのではないでしょうか。近年、導入が増えているのがVPNです。今回は、VPNの仕組みや種類、VPNを利用するメリットやデメリットについて解説します。
VPNとは?
VPNは、Virtual Private Networkの略称です。日本語にすると、仮想専用通信網となります。物理的な専用回線は用いずに、共用のインターネット回線に仮想の専用通信網を構築する技術です。
共用のインターネット回線を利用するため、専用回線の構築よりもコストを抑えられ、安全な通信経路を構築できる特徴があります。
VPNの主な活用シーン
VPNはどのような場面で利用されているのでしょうか。VPNの主な活用シーンを3つ紹介します。
従業員がフリーWi-Fiを利用して仕事をするとき
従業員が外出先で会社のクラウドにアクセスする際に、公共施設やカフェなどのフリーWi-Fiに接続することがあります。フリーWi-Fiは外出先でインターネットが利用できるメリットがある一方、誰でも利用できるため盗聴やデータ改ざんのリスクがあります。
VPNは、公共のフリーWi-Fiを利用する際にも役立つ技術です。仮想の専用空間ではフリーWi-Fiの通信内容も暗号化されるため、安心して外出先でも仕事ができます。
外部から社内のシステムへアクセスするとき
社内のネットワークに保管しているデータは、同じネットワークを介してでないとアクセスできません。しかし、VPNを構築することで仮想の専用空間ができるため、社内にいなくても社内ネットワークにアクセスできます。
出張先からアクセスできるだけでなく、リモートワークでも活用できるため、従業員の多様な働き方を実現しやすくなります。
オフィスの拠点間を接続するとき
企業が複数の拠点やオフィスを持つ場合、それぞれの拠点のネットワークをVPNで接続することができます。これにより、地理的に離れた拠点間でも、安全にデータをやり取りすることが可能になります。
また、各拠点で個別にインターネット回線を契約するだけで、専用線を敷設するよりも低コストで拠点間のネットワークを構築できるというメリットもあります。
VPNの仕組み
VPNで、仮想専用回線を構築して安全な通信ができる仕組みや技術について紹介します。
トンネリング
トンネリングは、物理的な専用回線を使わずに仮想の専用回線を構築する技術です。インターネット上に仮想のトンネルを構築し、トンネルを介してデータの送受信を行います。
トンネリングにより、トンネル内でやり取りされるデータは、同じインターネット上のユーザーから見えなくなります。外部からの不正アクセスや盗聴を防止するのに有効な技術です。
カプセル化
カプセル化は、仮想トンネルを行き来するデータをカプセルのように覆って安全に送受信する技術です。カプセル化されたデータは、外部から中身が確認できません。
仮に外部から仮想トンネルへの侵入に成功したとしても、情報漏洩やデータの改ざんからデータを保護できる特徴があります。
認証
認証は、トンネル内部に不正アクセスされないよう防ぐ仕組みです。インターネット上に仮想トンネルを設置しても、誰でも出入りできてしまうとセキュリティリスクを低減できません。
仮想トンネルにアクセスできる権限があるか認証を行うことで、外部からの侵入を防ぎます。認証方法には、IDとパスワードによる認証や多要素認証、電子証明書などがあります。
暗号化
暗号化は、カプセル化されたデータを暗号化により中身がわからないようにする技術です。暗号化したデータを解読するには鍵を必要とします。
鍵を持たない第三者が認証を突破したとしても、やり取りされるデータを簡単に解読できないようにする仕組みです。暗号化により、さらなるセキュリティの向上を実現します。
VPNの主な種類
VPNの主な種類を4つ取り上げます。
インターネットVPN
インターネットVPNは、誰でも利用できるインターネット回線上に仮想のトンネルを構築する方法です。既存のインターネット回線を利用できるため、他のVPNと比較して安価にVPN環境を構築できます。
注意点は、不特定多数が利用するインターネット上に仮想トンネルが構築されることです。ほかのVPNと比較するとセキュリティ上のリスクがあります。また、回線の利用状況により通信速度や品質が左右される面もあります。
エントリーVPN
エントリーVPNは、ADSLや光ブロードバンド回線を利用して、通信事業者が提供する閉域網(クローズドネットワーク)に仮想トンネルを構築する方法です。
インターネットVPNと比べて、利用できるユーザーは限られます。インターネットVPNよりも高いセキュリティを確保できるのが特徴です。
しかし、光ブロードバンド回線は帯域保証がありません。インターネットVPNと同様に、安定した通信品質や速度が期待できない場合もあります。
IP-VPN
IP-VPNは、通信事業者が独自に保有する閉域網(クローズドネットワーク)に仮想トンネルを構築して接続する方法です。通信事業者と契約を交わすことで、通常のインターネット回線とは異なる回線にアクセスできます。
エントリーVPNと比べてさらにアクセスできるユーザーが限られるため、高いセキュリティを確保できるのが特徴です。帯域保証があるため、混雑時でも一定の通信速度が保証され、安定した通信品質で利用できます。
広域イーサネット
広域イーサネットは、IP-VPNと同様に、通信事業者が提供する閉域網上に仮想トンネルを構築して接続する方法です。広域イーサネットは、通信プロトコルがIPに限定されない点がIP-VPNと異なります。
IP-VPNと比較して複雑な設定が必要です。ただし、カスタマイズ性がほかのVPNと比べて高いため、品質の良いネットワークを自社で構築できる利点があります。
VPNのメリット・デメリット
ここでは、VPNを利用するメリットやデメリットについて紹介します。
メリット
VPNには、主に下記のメリットがあります。
- 外出先からアクセスできる
- コストを抑えられる
- 一定の安全性を確保できる
VPNを利用することで、外出先からも社内ネットワークに安全にアクセスできるようになります。通信は暗号化されるため、外部からの不正アクセスによる脅威を低減できます。セキュリティの問題が生じやすいリモートワークへの対応にも役立つでしょう。
専用回線の構築と比較してコストを抑えられるのもVPNのメリットです。企業の規模に応じて、セキュリティレベルを高めたインターネットへの接続ができます。また、認証や暗号化などにより、一定の安全性を確保できるのもVPNのメリットです。
デメリット
VPNには、主に下記のデメリットがあります。
- セキュリティリスクは排除されない
- 通信品質が安定しない場合がある
- 商品によってはコスト負担が重くなる
VPNはセキュアな通信によりサイバー攻撃のリスクを低減できます。しかし、仮想的な専用回線であることから、専用回線と比較して第三者が侵入できる余地があります。そのため、セキュリティリスクを排除できません。信頼できる業者の選定や従業員への教育などの十分な対策が必要です。
また、VPNの種類によっては通信品質が不安定になることがあります。インターネットの利用者が多い時間帯などは混雑により通信速度に影響することがあるため、導入する種類は十分に検討しましょう。
なお、通信品質やセキュリティ向上を図るためにIP-VPNや広範囲イーサネットVPNを選択すると、コスト負担が重くなるデメリットもあります。性能やコストのバランスを考えて導入する必要があります。
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まとめ
VPNは、インターネット上に仮想の専用回線を構築する技術です。外部からのアクセスに対応できるなどの特徴があります。しかし、種類によっては通信品質が安定しないなどの問題もあるため、VPN以外の方法も含め、リモート支援のサービス導入を検討していくのが良いでしょう。