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【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~
第75回 サザエでございま~す 2020年1月22日配信
令和2年を迎えました。
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今年最初のコラムは、「サザエさん」を徒然なるままに語る。
おそらく皆さんがご存知のサザエさんはきっとテレビアニメのサザエさんであろう。私が初めてサザエさんと出会ったのは、昭和30年代の朝日新聞紙で連載されたモノクロの4コマ漫画だった。作者は長谷川町子さん。
一昨年、その長谷川町子さんの生誕100年を記念して、週刊朝日から臨時創刊号で『サザエさんと長谷川町子』(2018年4月1日)が発刊された。
コンビニで何気なくこの雑誌を手にしたのは、昭和の印刷物を彷彿とさせる、あの懐かしい「わら半紙」を使って印刷されていたからである。“これは珍しい! 記念になる”と思い、衝動買いしてしまった。
「わら半紙」とは、昔、小中学校などのテストや連絡用のプリントなどで使われていた少し茶色がかった紙のことである。お世話になった方もたくさんおられるだろう。
しかし購入はしてみたものの、その時は“パラパラッ”と数回めくってみただけで、特に気に留めることもなく自宅の何処かに放置してしまった。
そして2年近く経った今、たまたまテレビで「サザエさん放送50周年記念」のニュースを知り、再び探し出して読み返したというわけである。
サザエさんは大正11年(1922)年に連載が始まり、漫画の中ではずっと27歳のままである。アメリカのテレビ漫画に出てきたポパイ恋人役のオリーブに似ている。手足や首が妙に細長くヒョロッとした八頭身で、平均的な日本人体形の今のサザエさんとは若干違う。
勝手な想像だが、これは長谷川町子さんの中で少しだけアメリカへの憧れのようなものがあって、その理想を反映させたかったからではないかと思っている。
そのサザエさんが、昨年(2019年11月)にアニメ50周年記念(放送回数2531話目)を迎え、テレビでスペシャル番組が組まれた。と、同時にギネス世界記録にも認定された。
あまりにも有名になり過ぎて、一時「サザエさん症候群」なる言葉まで生まれた。日曜の夕方になるとサザエさんのテレビを観た後、週明けの仕事が憂鬱になり、暗い気分に陥ってしまう多くの社会人が続出したとのことだ。
日本の経済が飛躍的に成長を遂げた高度成長期の約20年間は、日本が敗戦からの復興を確信した時代である。
1964年にはその象徴的な出来事ともいうべき東京五輪が開催された。4コマ漫画の中でもサザエさん一家のテレビ観戦をめぐるドタバタ劇が紹介されている。
このころから、4コマ漫画はテレビによるアニメ放送に移っていった。
70年には大阪万博が開催、サザエさん一家も訪れた。
私もこの万博には友人と行ったのだ。夕方マイカーで出発して、早朝には大阪入りし、駆け足で会場をひと廻り。その日の夕方には名古屋の友人宅で仮眠を取った後、東京へ真夜中に帰るという強行スケジュールだった。
万博で私が一番印象に残っているのは、アポロ宇宙船で採取した本物の月の石だ。この万博の目玉を見学するのに何時間も待ったが、なんともつまらない単なる石ころだった。
また、古川パビリオンで富士通のコンピューターが人間と囲碁の対戦していたことは、鮮明に憶えている。サザエさんの中ではロボットが記念写真を撮ってくれるなど未来を予測させるシーンもいくつか紹介された。
東芝IHI館ではゴジラのような巨大パビリオンがサザエさん達を迎えた。
ここでは世界初のテレビ会議を使い、子供の迷子探しも紹介されていた。
当時、家庭のテレビはまだモノクロが全盛で、チャンネルはガチャガチャと手で廻す方式だった。面白いことに、スクリーンに3色のフィルターを取り付けて、カラーテレビ感を演出するフェイクレンズまであった。
私は知らないが、無断でドアをあけられないようにする鍵付きの冷蔵庫まであったとのこと。これは笑える!!
私の実家は商売をやっていたので冷蔵庫はあったが、電気ではなく氷で冷やす木製の冷蔵庫だった。親に頼まれ、度々重い氷を買いに行ったこともある。また、洗濯機には脱水機能がなくレバーをクルクル回して布を絞ったことも覚えている。
あれから半世紀経ち、サザエさんを長年支えてきた東芝が、昨年、とうとうスポンサーから降りてしまった。そして新たにアマゾンが加わった。まさに時代の移り変わりを感じる。
以前はスポンサーを忖度して(?)、ストーリーの中で、度々カラーテレビや冷蔵庫、洗濯機など白物家電が登場したこともあったが。時代の流れと共に御用聞きの三河屋さんの出番も少なくなった。
これからはサザエさんがパソコンを使いアマゾンからネットショッピングするシーンも描かれるかもしれない。
都市伝説として噂になったのが、サザエさん一家がハワイ旅行に行く最終回だ。この話はカツオが福引で一等賞の旅行券を引き当てたことから始まっている。当時、海外旅行でハワイ旅行に行ける人はとても珍しかったと記憶している。
私も新婚旅行で初めて海外に行ったとき、タクシーでチップの渡し方がわからず冷や汗をかいた経験がある。ホテルのレストランでは、私なりのネイティブ・イングリッシュでホットコーヒーを注文したらホットドックが出てきた。これには奥方と大笑いした。
当時は、ドル/円はいくらだったのだろうか? 忘れてしまったな~。
その後、私の家族もサザエさんと同じように、奥方と奥方の母上、息子と娘そして愛猫の三世代で暮らしていた。だが、あれから半世紀が経ち、子供が成長するにつれ、今では、とうとう奥方と二人きりの生活になってしまった。
サザエさん一家のようにドタバタやほんわかしていたあの時代がつくづく懐かしく感じる。
皆さんは、いかがでしょうか?
株式会社インターコム
代表取締役会長兼社長 CEO 高橋 啓介
設立40周年動画
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