【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第69回 追っかけ「孤独のグルメ」 2019年7月17日配信

皆さん、テレビでやっている「孤独のグルメ」をご存知ですか?

私は、以前からこの番組が大好きで、ほぼ毎週観ている。
我々お父さん達の間では静かなブームになっていて、私もSNSつながりの友人や飲み友達との間で、話題にすることが多い。

「知っている、知っている、あの番組ね!」「この間テレビで観たあのお店にいつか行ってみたいな!」とか……。

原作は、井之頭五郎という個人で輸入雑貨商を営んでいる中年男が主人公の漫画である。仕事の合間にふと立ち寄った先でB級グルメを一人食べながら、その感想を「ぐだぐだ」と食レポする、という単純なストーリーである。

井之頭五郎役には、やや強面で個性派俳優の松重豊がはまり役で出演している。名刺管理サービスSansanの 「それ早く言ってよ~」のテレビCMでも知るところである。

この「孤独のグルメ」の面白さは、何と言っても主人公が訪れた下町の小さな食堂で食べる数々の名物料理と、そして彼の小気味良い数々のうんちく集であろう。

最初から食堂を決めている訳でなく、偶然入った食堂で、そこに居合わせたお客さんが食べているものと同じものや、定番メニューをオーダーするというのがいつものパターンである。私も初めて見るようなものばかりで、テレビで観ていても実に美味しそうに見える。

「ホ~いいじゃないか、こういうのでいいんだよ、こういうので」とか、食べ始めると、「うぉーん、俺はまるで人間火力発電所だ」など、各場面で主人公の面白い名言が次から次へと飛び出してくる。誰も想像つかない食レポを、彼なりの名セリフで楽しませてくれる。

私自身は一人で夕食などを食べに行く機会はないが、これはなかなか楽しそうだ。

多くは大衆食堂なので値段も総じてお高くない。主人公役の松重豊は痩せている割には大食家でかなりの量を食べる。ドラマの設定なのか彼自身の演出かはわからないが、もし私がこんなに食べたら確実にお腹を壊してしまうだろう。

また、お酒を一滴も飲めない下戸という役柄から、ドリンク類は決まっていつもウーロン茶である。食べることだけに集中するという訳だ。そういえば私の友人にもそんな奴がいたな!!

とにかく、本当に実在する食堂での収録なので、店の様子がリアルに伝わってくる。料理を作る店主役やウエイトレスさん役は俳優さんがやっている。

井之頭五郎のセリフは単なるひとり言でなく、心の中で思ったことを“声”にしているので、観る側も彼自身になったような気持ちになれる。

そういえば、最近、多くの人達から、FBやインスタで、国内外での旅行先や有名レストランで食べた美味しそうな料理などの写真や食レポが送られてくる。シルバー世代の人達はグルメ志向の人達が多いせいか、とにかく高級そうなワインや豪華レストランでの写真が多い。

同僚や若い人達からも、出張先で食べたお弁当やご当地ラーメンなどSNS映えする画像が数多く寄せられる。こうした写真にも食レポらしきコメントが書かれていて、「自分は、こんなに美味しいものを食べているよ!」「こんなすごいレストランに行った!」とか、ちょっと自慢げに見えるときもある。

実は私自身も、ふるさとから送られてきた四季のフルーツや魚貝類など珍しいものを食べるときは、必ずFBにアップする。やはり皆さんと同様、美味しいものを見つけたときは友達同士で共有したり、自慢もしたくなる。

なので、FBやインスタでも、「孤独のグルメ」のように、自身がレポーター役となって写真や食レポを提供したいのであろう。

私なりにこのように分析したところで、井之頭五郎の後追いでもいいから、一度、私自身も「孤独のグルメ」を体験してみようと思い立ち、適当な場所をネットで探してみた。

するとラッキーなことに、この番組で放送された一軒の居酒屋がなんと会社の近くにあるではないか!!

「ここならすぐにでも体験できる!! 思い付いたら吉日だ!!」 とばかりに、普段は一人で居酒屋などへ行ったことがないのに勇気を出してその日の仕事帰りに寄ってみることにした。

場所は会社からわずか10分ほど歩いた昔ながらの商店街の中にあった。

あっ~あの「おかず横丁」か~……。ここは以前何回か素通りしたことはあったが、今までレストランなどほとんど意識したことがない。目的のお店は、「居酒屋まめぞ」だ。

会社を5時半きっかりに出たので、「居酒屋まめぞ」へは、ちょっと早く着き過ぎてお客は私のみだった。そりゃそうだろう。お店に入ってからわかったことだが、ここは居酒屋というより、昔ながらの洋食屋と飲み屋をミックスしたような感じがした。

お店の中をグルっと見渡すと、撮影で井之頭五郎が座っていたカウンターが見えた。一瞬このカウンターに座ろうとも思ったが、しかし、ここはクールに店内をしっかりと観察するため、あえて店内がよく見渡せる窓側を陣取ることにした。

時間はたっぷりある。時間が許す限り、「孤独のグルメ」の聖地巡礼の第一歩と洒落こんで、至高の時間を過ごそうじゃないか。

井之頭五郎がこのお店で食べた料理は、あらかじめホームページで調べておいたので、何が美味しいかはわかっていた。一番のおススメは「かつサンド」。ホームページによると、この「かつサンド」はほとんどのお客がお土産用に注文するらしい。

早く食してみたいが、これは最後の締めに取っておくことにした。とりあえず生ビールだ。

井之頭五郎は下戸なので、番組では一滴も飲まないが、私の場合そうはいかない。急いで来たので喉も乾いていた。とりあえずハーフ&ハーフを一杯所望。

「あーやっぱり生ビールは旨し!!」となんだか、言い方までも井之頭五郎調になってきた。

そして、彼が食べたものと同じ料理を注文することに。
スマホ片手に、番組で紹介された「生ハムハーフ」「にぎす干し」「せんちゃんサラダ」を注文、それに番組を無視して自分勝手に「水ナス」「お新香」「アジフライ」も追加注文。さらに生ビールももう一杯。

誰にも邪魔されず、気を遣わず、一人で食べるというのもたまにはいいものだな~、と勝手に感心しながら、追っかけ「孤独のグルメ」の時間を楽しく過ごしていった。

そして十分食べ終わったところで、最後はとっておきの「かつサンド」を注文して締めくくることにした。

お腹は結構満たされていたが、「かつサンド」だけは別腹で行きたい。
と思っているうちに運ばれてきたのは、揚げたてのジューシーで分厚いとんかつを真っ白なパンで挟み込んだ、まさに最後を飾るにふさわしいベストマッチングな「かつサンド」だった。

「旨い!!」。確かに名物だけのことはある。多くのお客さんから愛されるはずだと十分納得。

しかし、それでも半分食べたところで、もう食べられそうもない。少々考えて、こんな旨いものだったら奥方にも食べさせたい。それが夫婦の愛というものであろうと思い付き、「かつサンド」を半分残しお土産に包んでもらうことにした。

この「かつサンド」、翌日の朝食で奥方と一緒に食べたが、やっぱり旨かった。

今回は大満足な一人遊びだった。
いつの日か、次の、追っかけ「孤独のグルメ」の聖地を探すのも今からの楽しみである。

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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