導入事例

《株式会社仁科百貨店様》
「Biware」は、小売側のEDIシステムとして安定稼働した確かな実績があり、「流通BMS」への対応に際し、製品選定に迷いはありませんでした。

食品小売業(スーパーマーケットチェーン)
JX
Biware EDI Station

倉敷市/岡山市を中心に岡山県南地域に根差したチェーンストアとして、スーパーマーケット/専門店を含めて全30店舗を展開する株式会社仁科百貨店様。100年以上の歴史と充実した品揃え、さらには徹底した品質管理により、地元住民の生活に溶け込んだローカルチェーンとして確かな地位を築いておられます。
流通業界では新しいEDI業界標準である流通BMSの普及が進む中、仁科百貨店様でも2016年から2017年にかけて、それまでのレガシーEDIシステムからの一斉切り替えを実施。その際、新しいEDIシステムの構築に「Biware EDI Station」をご採用いただきました。当時ご導入いただいた際の経緯や決め手などについて、情報システム部の高畠様、さらには長らく同社のシステム構築に携わっておられるエイシック・インターナショナル株式会社の瀧様にお話を伺いました。

導入の経緯

長年利用した基幹サーバーの老朽化を機に、
流通BMSへの切り替えを検討

まずはEDIシステムの入れ替えをご検討されたきっかけについて教えてください。

情報システム部 部長 高畠 正二様

2000年より基幹サーバーをそれまでのメインフレームからWindowsサーバーに切り替え、全銀TCP/IP手順を利用したEDI環境を構築し、運用を続けてきました。そのWindowsサーバーも老朽化が進み、2016年にリプレイスを実施することにしました。そのリプレイスに併せ、EDIシステム自体も新しい業界標準である流通BMSへ切り替えるべく検討を始めたのがきっかけとなります。

流通BMSへの切り替えについては、全銀TCP/IP手順のインフラとなる “INS回線のコストを削減したい” などの理由から、一部の大手取引先よりすでに流通BMSへの切り替えに関するご要望をいただいておりました。さらに、同業である大手小売企業から各取引先に対する流通BMSへの移行要請が本格的に進んでおり、当社取引先を含めて流通BMSへの対応を進めなければならないという必然性が高まっていました。また当時、消費税増税に伴う軽減税率制度の施行を控え、複数税率の取り扱いに対応するためのシステム改変を行う必要性がありましたので、すでに複数税率の取り扱いに対応していた流通BMSへの切り替えに迷いはありませんでした。

EDI製品のご選定の経緯について教えてください。

エイシック・インターナショナル株式会社 瀧 英夫様

まず前提として、小売側の流通BMS対応システムは外部のEDIクラウドサービスを利用するケースが比較的多い印象です。ところが今回、当社では自社構築による運用にあえてこだわりました。その理由は、自社でシステムを構築して運用することで、他業務との連携やシステム変更に柔軟に対応するためです。また外部のEDIクラウドサービスを利用した場合、利用コストの負担が取引先の拡大に伴って大きくなります。万が一サービスが終了した場合、再構築の負担も少なくありません。

パッケージ製品の選定については、当初、全銀TCP/IP手順対応のシステムを構築した際に利用した製品の後継品(流通BMS対応版)を予定していましたが、調べたところ該当する製品の提供はありませんでした。一方「Biware EDI Station」は、瀧様が他の小売側システムの案件で利用した際に安定稼働した実績があり、製品に対する信頼感が当初よりありました。そこで「Biware EDI Station」の検証を一通り行った上で、正式に採用することにしました。

「Biware EDI Station」をご採用いただいたポイントについて、詳しくお聞かせください。

「Biware EDI Station」を採用した主なポイントは次の3点です。当社では各種システムの選定に関して5点ほどの評価ポイントを踏まえて検討を行います。検討の結果、「Biware EDI Station」は当社にとって適合度の高い製品であることがわかりました。

「Biware EDI Station」採用のポイント
  • 小売側EDIシステムとして安定稼働した実績がある点

    すでに触れたように、「Biware EDI Station」が小売側のEDIシステムとして安定稼働した実績があることが決定的に大きい。他の案件で構築した際のノウハウについても、瀧様を通じて当社のシステム構築に活かされることで、信頼性のあるEDIシステムが実現できる。

  • 外部システムとの連携機能が優れている点

    流通BMSでは、発注から支払まで一連の取引をすべて自動で行うため、内部処理においては基幹システムなどとの連携機能が非常に重要となる。「Biware EDI Station」には、作成したワークフローから基幹システムを呼び出すコマンド連携機能や、指定フォルダーを定期監視し、基幹システムから出力されたファイルに対して通信処理などを実行するフォルダー監視機能など多彩なプログラム連携機能が用意されており、システム構築上の柔軟性が高い。

  • サポートセンターの対応が優れている点

    製品評価の際に何度か「Biware EDI Station」のサポートセンターを利用する機会があったが、丁寧な印象でかつ技術面についても比較的高い印象を持った。これまでの経験上、製品力の高い企業は概してサポート力も高いと感じている。

導入の状況

稼働系/待機系の構成により、EDIサーバーを構築。
5種類の流通BMSデータで取引

「Biware EDI Station」の導入状況について教えてください。

「Biware EDI Station」は、稼働系と待機系の2台のEDIサーバー(2台のサーバーそれぞれに「Biware EDI Station」をインストール済)によるコールドスタンバイ方式の冗長構成にて運用しています。稼働系EDIサーバー上の「Biware EDI Station」内のデータを日々バックアップすることで、障害発生時には待機系EDIサーバーの起動とバックアップデータの読み込みによって運用を継続できるようにしています。

流通BMSによる発注から納品までの流れとしては、まず各店舗からの発注依頼を本部(基幹サーバー)に集約し、取引先(卸売/メーカー)ごとに発注データを作成してEDIサーバーにアップロードします。この際、卸売/メーカーからの直納ではなく、外部の物流センターを経由して納品される発注については、同一内容が記載された発注データを外部の物流センター用にもアップロードします。その後、卸売/メーカー、外部物流センターの両者がデータを受信し、ピッキング作業が行われた後に出荷データが両者から送信されてきます。本部では両出荷データを照合することで出荷検品を行い、問題ない場合は仕入を確定します。その後、該当の店舗へ入荷確定の連絡を行って実納品を待つ形となります。ちなみに取引で利用している流通BMSの標準データは、「発注」 「出荷」のほか「受領」 「返品」 「支払」となります。

なお伝票量ベースで全体の約8割は流通BMSでの取引となりますが、残り約2割はWeb-EDIやFAXを利用しています。例えば、青果、鮮魚といった生鮮品については、発注はFAX(手書き伝票)で行い、出荷(仕入確定情報)のみWeb-EDIを利用しています。また売価の設定ミスなど、流通BMSのマスター不備による訂正処理についてはFAX(紙)で行っています。

株式会社仁科百貨店様 システム概略図

流通BMSへの切り替えについては、まず2016年10月に取引先説明会を実施し、その後協定シートを配付。2016年11月から12月にかけて「Biware EDI Station」を導入し、自社側の流通BMS環境を構築。2017年1月から3月にかけて情報システム部の担当者2名体制で各取引先との通信テストを行い、2017年3月より正式稼働となった。取引先説明会から約6か月という期間で流通BMSへの完全切り替えを行っている。
なお、取引先のうち流通BMS環境が未導入であった約80社がこのタイミングですべて切り替えを行った。そのうち一部の取引先については、流通BMS用のクライアントソフトである「Biware らくらく受注 Pro」をご利用いただいている。

運用と効果

伝票処理業務を大幅に削減。GUIベースのデータ変換
機能で運用上のメンテナンス効率が向上

「Biware EDI Station」および流通BMSの導入効果についてお聞かせください。

豊富な品揃えで多様なニーズに対応する「フードバスケット」

「Biware EDI Station」の導入効果としては、まず何よりも安定して稼働していること、それに加えて、データマッピング機能を簡単に利用できることが挙げられます。専用のGUI上から簡単にデータ変換定義の作成、修正ができるため、取引先からの緊急の要望に対して柔軟にマッピング設定を更新できます。これにより、運用上のメンテナンス効率が高まったと考えています。

次に流通BMSの導入効果としては、旧EDIシステムと異なり、ペーパーレスを実現したことによる伝票処理業務の削減効果が挙げられます。例えば、パン、冷凍食品、アイスクリームなど、ルートに沿って配送トラックが補充に訪れ、その場で補充した分の納品伝票が発行されるタイプの商品は、これまで伝票(紙)での取引となっていました。流通BMSの導入により、出荷開始型モデルに沿って相手が送信した出荷データを受信して、これまでのように基幹サーバーへ手入力することなくそのままデータで取り込むことができます。

流通BMSはオンラインでの情報交換となりますので誤入力などの問題も発生せず、商品が入荷された翌日には当社の基幹サーバー上で仕入れを確定できます。旧EDIシステムと比べ、正確で即時性のあるデータ管理が可能になったことも導入効果だと考えています。

掲載している情報は、取材日時点のものになります。
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