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Webフィルタリングとは? メリット・デメリットや種類、注意点を解説

Webフィルタリング
Webフィルタリングとは? メリット・デメリットや種類、注意点を解説

Webサイトは、企業や公的機関からの情報発信ツールとして広く活用されています。しかし、Webサイトの中には、閲覧者から不正に情報を得ようとしたり、ウイルスに感染させようとしたりする悪意あるサイトも存在します。
不審なサイトへのアクセスを防ぐための効果的な対策が、Webフィルタリングです。情報セキュリティ対策にもつながるWebフィルタリングのメリット・デメリットや種類のほか、導入時の注意点などを解説します。

Webフィルタリングとは一部のWebサイトへのアクセスを制限すること

Webフィルタリングとは、一部のWebサイトにアクセスできないように制限をかけることです。「18歳未満の子供が年齢制限のあるサイトを閲覧しないようにする」といった対策もWebフィルタリングの1つで、マルウェアなどに感染する恐れのあるサイトの閲覧を防ぐセキュリティ対策もWebフィルタリングに該当します。
業務で使用するパソコンにWebフィルタリングを導入すれば、仕事に必要のないサイトや悪意のあるサイトの閲覧を制限でき、情報セキュリティを向上することが可能です。

Webフィルタリングのメリット

Webフィルタリングは、企業の情報セキュリティ対策や業務効率の向上において重要な役割を果たします。Webフィルタリングの主なメリットは、下記の通りです。

ウイルス感染などを防止できる

Webフィルタリングのメリットの1つは、ウイルス感染のリスクを低減できることです。Webフィルタリングをしない場合、従業員が業務用パソコンで悪意のあるWebサイトにアクセスするとランサムウェアなどのマルウェアやウイルスに感染するリスクが高まります。例えば、業務用パソコンがランサムウェアに感染した場合、業務用のデータが暗号化されて業務停止を余儀なくされたり、暗号化を解除するために身代金を要求されたりする被害が発生しかねません。

また、標的型攻撃メールやフィッシング詐欺などの手口では、メールに記載された不審なURLをクリックさせてウイルス感染を誘発するケースもあります。Webフィルタリングを導入することで、こうした不正サイトへのアクセスを事前にブロックでき、セキュリティ事故を未然に防ぐ対策となります。

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内部不正を防げる

Webフィルタリングには、内部不正を防止できるメリットもあります。情報漏洩は、外部からの攻撃だけではなく内部の従業員の不正によって引き起こされるケースもありますが、Webフィルタリングを活用することで、インターネットを経由した機密情報の持ち出しや不用意な漏洩を防ぐことが可能です。

例えば、社外のクラウドサービスやSNSへのアクセスを制限することで、故意による情報の持ち出しやうっかり機密情報を投稿してしまう事態を防げます。このように、内部不正を制御する手段としても、Webフィルタリングは有効です。

業務に無関係なWebサイトを閲覧できなくなり業務に集中できる

従業員が業務に無関係なWebサイトを閲覧できなくなり、業務に集中できるようになることも、Webフィルタリングのメリットです。業務に無関係なWebサイトの閲覧は、生産性の低下につながるだけでなく、職場の規律にも悪影響を及ぼします。Webフィルタリングを導入することで、動画配信サービスなどの娯楽用のWebサイトへのアクセスを制限し、従業員が業務に集中できる環境を整備することが可能です。

また、Webフィルタリングを行うことでアクセスログの取得や監視ができます。たとえ制限対象でないWebサイトであっても、業務に無関係なサイトの利用が見られた場合には注意喚起を行えます。このように、Webフィルタリングによって、生産性の向上と職場の健全化の支援もできるようになります。

Webフィルタリングのデメリット

Webフィルタリングには様々なメリットがありますが、一方で運用面での課題や注意点も存在します。下記2点のデメリットがあることは、導入前に把握しておきましょう。

誤検知することがある

Webフィルタリングのデメリットは、誤検知をすることがある点です。Webフィルタリングの精度が不十分な場合、本来は安全なWebサイトを誤って危険だと判断し、従業員が業務に必要な情報を得られなくなるケースがあります。その結果、業務が停滞するケースも発生しかねません。

誤検知は、Webサイトの内容やカテゴリなどが常に変動していることが原因で発生しやすいため、フィルタリングリストやカテゴリ分けのルールの内容を定期的にチェックすることが必要です。業務に支障が出ないよう調整する運用体制を整えましょう。

柔軟な設定ができず業務を阻害することがある

Webフィルタリングのルール設定が柔軟にできない製品の場合、必要な業務サイトへのアクセスも自動的に遮断してしまい、かえって業務の妨げになるリスクがある点もデメリットです。

例えば、取引先が使っているクラウドサービスや業界特有のWebツールが制限対象となってしまうと、必要な作業が進められなくなることもあります。そのため、Webフィルタリングを導入する際は、業務で使用するWebサイトを検知の例外として簡単に設定できる製品を選ぶと共に、一時的に制限を解除するなどの柔軟な運用ができる体制を整えておくことが求められます。

Webフィルタリングの種類

Webフィルタリングにはいくつかの方法がありますが、下記の4種類が一般的です。制限が過剰にならないよう、フィルタリングの目的や業務の状況などに合わせて、適切なフィルタリング方法を選択してください。

ブラックリスト方式

ブラックリスト方式とは、ブロックするWebサイトをあらかじめリスト化する方法です。ブラックリストとして登録されたWebサイトに、アクセスできないように制限をかけます。

ブラックリスト方式は、アクセスを禁止したいサイトが少ない場合には便利です。しかし、セキュリティ上問題のあるサイトなどを1つひとつ登録していくのは手間がかかります。一定数以上のサイトをフィルタリングしたい場合にはあまり適さないでしょう。

ホワイトリスト方式

ブラックリスト方式とは反対に、アクセスに問題のないサイトだけをあらかじめ登録しておくフィルタリング方法が、ホワイトリスト方式です。

アクセスできる先は登録されたサイトに限定されるため、セキュリティ対策としては高い効果を発揮します。ただし、業務に必要なサイトにアクセスできなくなってしまう可能性も高くなります。後からそのような事態に直面した場合に、どのようなフローで対応するのか(リストへの追加登録の承認フローや緊急時の対処法)についても事前に検討しておかなければなりません。

カテゴリフィルタリング方式

Webサイトをいくつかのカテゴリに分類した上で、アクセスできないカテゴリを指定する方法がカテゴリフィルタリング方式です。
通常、カテゴリはセキュリティ会社が作成します。「SNS」「オンラインゲーム」「アダルト」といったカテゴリを設けて、業務に関係のないカテゴリに該当するサイトへのアクセスを遮断します。

カテゴリフィルタリング方式は、ブラックリスト方式よりも簡単に、広範囲のサイトへのアクセスを防げる方法です。ただし、Webサイトをカテゴリに登録するデータベースが正しく作られていないと、問題のないサイトへのアクセスが遮断されてしまう可能性があります。

レイティング方式

レイティング方式は、あらかじめ定めた基準に基づいてWebサイトが格付けされていることを前提に、一定の格付けを下回るサイトへのアクセスを遮断するWebフィルタリングの方法です。

格付けの方法には、情報発信者であるWebサイトの管理者自身が行う方法と、第三者機関が行う方法の2種類があります。サイトの管理者自身が格付けを行う場合、悪意あるサイトであることを隠して虚偽の格付けをしている可能性があります。そのため、Webフィルタリングに利用するには、第三者機関による格付けを参照するのが安全です。
しかし、第三者機関による格付けには、新しいサイトの評価に時間がかかるという問題があります。

Webフィルタリング導入時の注意点

Webフィルタリングの導入は、セキュリティ対策や業務効率化に役立ちます。しかし、Webフィルタリングを導入すれば安心というわけではなく、下記の4点に注意しなければなりません。

業務に支障が出ない範囲内での制限にする

Webフィルタリングを行う際は、業務への影響を十分に考慮する必要があります。必要なWebサイトにすぐにアクセスできず、いちいち許可をとってアクセス制限を解除してもらうようでは、業務効率が大幅に下がってしまいます。取引先にも迷惑がかかる可能性があるため、十分な注意が必要です。

これを防ぐためには、Webフィルタリングで制限を行う前に、通常業務の中で利用しているWebサイトの洗い出しを行いましょう。さらに、現在は利用していなくても、将来利用する可能性のあるサイトについても検討が必要です。フィルタリングの範囲の設定は、現場の従業員の意見も取り入れながら慎重に行ってください。

ITリテラシーの向上を目指す

Webフィルタリングを利用しているからといって、すべての悪質なサイトへのアクセスを遮断できるとは限りません。レイティング方式で格付けが間に合っていない新しいサイトにアスセスする場合や、カテゴリ方式の分類に問題があった場合など、Webフィルタリングでも有害サイトへアクセスできてしまう危険性は存在します。
また、そもそも不審なWebサイトにアクセスしようとしたり、業務に関係のないサイトを就業中に閲覧したりする従業員がいること自体が、企業のリスクになりかねません。

Webフィルタリングでシステム的に有害サイトへのアクセスを防ぐのは非常に効果的なセキュリティ対策ですが、Webサイトの閲覧を行う従業員自身のリテラシーを高めることも重要です。
従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めるために、Webフィルタリングの限界や、有害サイトの見分け方、情報セキュリティ事故を起こさないために個々人ができる対策を周知する研修を実施しましょう。併せて、就業時間中の無関係なサイトの閲覧による問題や、露見した場合の懲戒処分などを伝えることも大切です。

例外運用規定を策定する

Webフィルタリングをより柔軟に活用するためには、例外運用規定を定めておくことも重要です。いくら綿密に検討したとしても、あらゆるケースを想定することはできません。将来、何らかの業務上の事情により、制限のかかったサイトへのアクセスが必要になる可能性もあります。

実際にそのような事態が起こってから対処法を検討しているようでは、緊急を要する場合に対応が間に合わなくなってしまうかもしれません。事前に「例外を認められるケース」「例外運用を求める場合の申請方法とフロー」などを定めておく必要があります。

Webフィルタリングソフトを選ぶ際のポイント

Webフィルタリングソフトは多種多様であり、企業の環境や目的に合ったものを選ぶことが重要です。下記では、導入時にチェックすべき主なポイントを紹介します。

検知の精度やデータベースの更新頻度

Webフィルタリングソフトを選ぶ際は、検知の精度やデータベースの更新頻度について事前に確認しておきましょう。

安全なサイトを誤ってブロックしてしまう誤検知や、反対に危険なサイトへのアクセスを見逃すケースは、業務の効率性やセキュリティに大きな影響を及ぼします。そのため、AIや人の目による精度向上の仕組みが整っているか、危険なWebサイトに関するデータベースがどの程度の頻度で更新されているかなどを事前に確認しておくことが重要です。

レポートの出力内容

Webフィルタリングの効果を可視化するためには、レポート機能も重要なポイントです。どのようなWebサイトへのアクセスが制限されたのか、従業員のアクセス傾向に問題はないかなどを把握できるレポート機能があると、製品の効果検証や継続的な運用方法の改善に役立ちます。

報告書として経営層に提出する場面も想定し、視認性やカスタマイズ性にも注目しましょう。

動作時にかかる負荷

Webフィルタリングソフトを選ぶ際は、動作時の負荷について確認することも重要です。

多くの従業員が同時にインターネットを利用する企業では、フィルタリング処理によってネットワークや端末に負荷がかかる場合があります。特に、大量のトラフィックが発生する業種では、Webサイトの表示が遅くなるなど業務の効率性に支障が出ることもあります。

導入前には、トライアルやテスト環境での検証を行い、自社環境でスムーズに動作するかを確認するのがお勧めです。

柔軟にルールを設定できる管理画面

ルール設定をするための管理画面が使いやすく、かつ柔軟にルール設定できるようになっていることも、Webフィルタリングソフトでは重要なポイントとなります。

フィルタリングのルールは、業務ごとに細かく調整したいケースが出てくることがあります。例えば、「SNSは閲覧のみ許可するが投稿は不可」といったルールを導入したいケースなどです。自社が希望するルール設定を簡単に実現できる製品かどうかは、運用のしやすさを左右します。

また、こうした設定を担当者が直感的に操作できる管理画面かどうかも重要です。ルール変更やログの確認などが効率的に行えるUI設計であることが、運用負荷を軽減するカギとなります。

コストと機能のバランス

Webフィルタリングソフトを選ぶ場合、コストと機能のバランスについても確認しましょう。理想的には、すべてのニーズを満たす高機能な製品を導入したいところですが、高機能な製品はコストも高額になるのが一般的です。導入前には必要な機能の優先順位を明確にし、コストとのバランスを考えて導入する製品を決定するのがお勧めです。

単に価格が安いだけでなく、長期的な運用やサポート体制も含めて、トータルコストで比較検討してください。

Webフィルタリングを含めたセキュリティ対策で安心できる業務環境を作ろう

Webフィルタリングは、Webサイトの閲覧やアクセスによって引き起こされるトラブルの多くを解決できる効果的な手段です。しかし、それだけですべての情報セキュリティ事故を防ぐことはできません。従業員のリテラシーを高めるとともに、ログの管理や機器類の利用ルールの策定、セキュリティソフトの導入といった複数の対策を重ねて、情報セキュリティ事故の起こりにくい安心できる業務環境を構築していきましょう。

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