コラム

ChatGPTの危険性とは? メリットやリスクへの対応策を解説

ChatGPT 危険性
ChatGPTの危険性とは? メリットやリスクへの対応策を解説

ChatGPTは、チャット形式で利用できる生成AIのひとつで、ビジネスでも様々なシーンで利用されています。しかし、ChatGPTの利用には危険な側面も存在します。ビジネスでChatGPTを利用する上で、危険性に対する適切な対策を知りたい企業の担当者も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、ChatGPTの危険性やメリット、リスクへの対応策について解説します。

ChatGPTとは、OpenAIによって開発された生成AI

ChatGPTは、OpenAIによって開発された生成AIです。高度な自然言語処理能力を持っている点が特徴的で、人間のような自然な回答ができます。

入力されたテキストに基づいて素早く自然な回答を生成できるため、個人利用からビジネスまで、様々な場面で活用されています。例えばビジネス分野では、顧客からの問い合わせに対して自動で応答を行うカスタマーサポートチャットボットに活用したり、ビジネス用メールや業務用資料などに使う文面の作成に役立てたりすることもできます。

アイデア次第で様々な業務を効率化できるため、企業でもChatGPTの活用が広がっています。

ChatGPTの危険性

ChatGPTは便利なツールですが、使用する際にはテキスト生成AI特有の危険性もあります。ChatGPTに潜む主なリスクは、下記の4点です。

情報漏洩

ChatGPTを使用する場合、情報漏洩が発生する危険性があります。ChatGPTを運営するOpenAIの利用規約「Terms of use」によれば、ユーザーがChatGPTに入力した内容は、AIの学習材料として使用されることがあると記載されています。ChatGPTのAIに学習されただけであれば、第三者に情報を悪用される可能性は少ないかもしれませんが、ChatGPTは学習した情報をほかのユーザーへの回答に利用する可能性もある点に注意が必要です。
そもそも、業務上の機密情報などが、企業の意図しない形で利用されていること自体が情報漏洩だといえます。

また、ChatGPTのバグにより、一部のユーザーに別のユーザーのチャット履歴のタイトルが表示されたこともあります。このインシデントでは会話の本文の内容は漏洩していませんが、想定しない形で入力した内容が漏れるケースもあることを想定し、入力する情報には細心の注意を払わなければなりません。

併せて読みたい

著作権侵害

ChatGPTによって生成されるテキストが、第三者の著作権を侵害している危険性もあります。ChatGPTの回答はAIが収集した情報を基に構成されるため、ほかのユーザーの著作物から学習し、その著作物に類似した回答を生成する可能性があります。
ChatGPTには出力した内容が著作権を侵害しているかどうかを判断する機能はなく、ChatGPTによって自動生成される文章は出所も明確ではないため、意図せずに著作権を侵害してしまうリスクがあることには注意しましょう。

フェイクニュースの拡散

ChatGPTは与えられた情報を基に自然な文章を生成するため、真実であるかのような説得力を持ったフェイクニュースを生成してしまう危険性があります。ChatGPTのAIは過去に入力されたデータを基に回答を生成するため、その情報源の真偽を自ら判断することはできません。

ChatGPTの回答を、真偽を確かめずにSNSなどで拡散すると、社会的な混乱を引き起こすフェイクニュースを拡散してしまう可能性があります。回答された内容の取り扱いには、十分な注意が必要です。

サイバー攻撃への悪用

ChatGPTが悪用された場合、フィッシング詐欺をはじめとするサイバー攻撃に利用される危険性もあります。例えば、ChatGPTが生成する自然な文章を使って、信頼できる人物や組織からのメールであるかのように偽装したフィッシング詐欺のメールを送ることができます。
もちろん、「フィッシング詐欺に利用するメールの文面を作成してほしい」といった直接的な指示への回答は拒否されます。しかし、指示を工夫すれば、詐欺メール用の文面を生成できる可能性もあります。
海外の犯罪者による詐欺メールの見分け方のひとつに、日本語の不自然さを確認するといった方法が挙げられますが、ChatGPTを利用した詐欺メールはそれだけでは見分けられないかもしれません。文面の不自然さ以外の部分で、詐欺メールを見分ける対策が必要です。

また、ChatGPTはプログラミングコードの作成にも活用できるため、初心者が悪意のあるプログラムを作成できてしまう点も懸念されています。ChatGPTによってサイバー攻撃が巧妙化する可能性があるため、対策を整えておかなければなりません。

ChatGPTのメリット

ChatGPTには、危険性もありますが、メリットもあります。迅速に自然な文章の回答を得られるため、ビジネスの場面でも下記の2点に役立てることができます。

情報収集の効率化

ChatGPTを使用すると、情報収集を効率化できるメリットがあります。例えば、情報収集のための長文の資料を読む際に、ChatGPTが役立ちます。ChatGPTに指示を出すと、長文を短時間で要約し、その重要な要素だけを抽出した回答を得ることもできます。
要約された内容をさらに見やすくまとめたい場合は、改めて指示を入力し、箇条書き形式や表形式などにまとめ直して回答させることもできます。ChatGPTは、必要な情報を得るための時間を短縮するのに効果的なツールだといえます。

文書作成業務の効率化

ChatGPTは、日常的なビジネス文書や複雑なマニュアルなど、様々な文書作成業務を効率化できる点もメリットです。
例えば、簡単な指示で顧客へのメールの文面を素早くChatGPTに作成させることもできるため、業務時間の短縮とレスポンス速度の向上に役立ちます。企業のSNSの公式アカウントで投稿する文面を作成する際に、ChatGPTに文面を提案させることもできます。自社の業務プロセスを学習させれば、業務マニュアルを作成させることもできます。

また、会議があった際には、会議の音声データを文字に起こしたテキストをChatGPTに読み込ませて、議事録形式にまとめさせることもできます。ビジネス上の様々な場面で文書の作成が必要になりますが、その業務時間の短縮にもChatGPTは有効です。

ChatGPTの危険性への対応策

ChatGPTは革新的な技術ではありますが、情報漏洩などの危険性もあります。そのリスクを軽減するためには、下記のような対応が必要です。

社内ガイドラインの作成

企業や組織内でChatGPTを安全に利用するためには、社内ガイドラインの策定が不可欠です。ガイドラインでは、例えば下記のような規程を導入することが考えられます。

ChatGPTの社内ガイドラインに盛り込む規程の例
  • 個人情報・機密情報を入力させない
  • 利用できる業務の範囲を決める
  • ファクトチェックを義務づける
  • 著作権チェックを義務づける
  • 利用できるアカウントを決める

ChatGPTからの情報漏洩を防ぐためには、個人情報や機密情報を入力しないことが根本的な解決策となります。また、ChatGPTを利用できる業務の範囲を、例えば機密情報などを扱わない業務に限定する方法も有効です。

生成された文面を不特定多数に公開する場合は、ファクトチェックと著作権チェックを義務づけることで、フェイクニュースの拡散や著作権侵害のリスクを低減できます。ChatGPTの業務での利用状況を把握できるようにするために、企業が作成したアカウントだけChatGPTの使用を認めるといった方法もあります。状況に応じて、最適なガイドラインを策定しましょう。

個人情報や機密情報が流出しない設定の導入

ChatGPTの設定を適切に管理することで、情報漏洩リスクを軽減できます。例えば、ChatGPTでは対話履歴を保存しない設定を利用できるため、誤って個人情報などを入力してしまっても、その情報の漏洩を防ぐことができます。

また、ChatGPTでは組織向けにChatGPT TeamやChatGPT Enterpriseといった有料プランが用意されており、組織で利用する際の管理に役立つ機能と共に、入力情報をAIの学習に活用しない機能が提供されています。これらの組織向け有料プランを利用することで、安全にChatGPTを利用できるようになります。

併せて読みたい

ChatGPTの危険性に対応するために、ツール導入も検討しよう

ChatGPTは、様々なビジネスシーンで、便利なツールとして活用できます。しかし、安全に利用するためには、情報漏洩や著作権侵害、誤情報、サイバー攻撃といったリスクにも対応しなければなりません。このリスクを軽減するために、社内ガイドラインの策定や設定の工夫、セキュリティ対策用ツールの導入などを進めましょう。

ChatGPTを利用する際の情報漏洩対策ツールとしてお勧めなのが、「MaLion」シリーズです。「MaLion」シリーズにはWebアップロード監視機能があり、ChatGPTを利用した際に「誰が」「いつ」「どのパソコンから」「どんな内容を書き込んだのか」を確認できます。ただし、ChatGPTからの返答内容を監視できない点には注意してください。
ほかにも、個人情報ファイル制御や送受信メールの監視といった機能もあります。網羅的な情報漏洩対策を導入したい場合は、ぜひ「MaLion」シリーズをご検討ください。

「MaLion」シリーズのラインアップ
クラウド版 オンプレミス版
MaLionCloud
MaLion 7

関連記事

▲